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黒猫の勝手気ままな放浪記

 自分の趣味に走るとこうなってしまった(」゜□゜)」 という女子高生が送るブログです。
 § PEOPLE―第二話
2007年10月16日 (火)
自作小説 * 小説・文学

『ジンシュニカァ。ジンシュニカです。』
駅員のアナウンスが休日の人でごった返したホームに鳴り響く。ルイは人込みを掻き分けながら辺りをきょろきょろと見回す。しかしなかなか見当たらない。しばらくして指定されていた場所に立つ一人の女性を見つける。だが、相手は男のはず。おそらく人違いだろうと踏んでその女の隣に立ち待ち人を待った。
「・・・。」
目深くかぶった帽子に暖かそうな分厚いコート。コートは襟が立てられていて顔は少しうかがい辛い。ヒールの高いロングブーツを履いていて、全体的に雰囲気としては暗い茶色から黒。長身なルイの身長よりも頭一つ分ほど高く、なんというか・・・怪しい人だった。じっと見すぎたのかその女性は顔を上げた。目が合う。引き込まれそうになった。暗いモスグリーンの目はルイの目を捉えてはなさない。体中を探りつくすような目。背筋が寒くなる。しかし目をはなすことはできない。
「ふっ。」
唐突にやさしい笑みが向けられた。戸惑いを隠せないルイに、彼女は話しかけた。
「ルイ・リナパークさんですか?」
いきなりかけられた声にさらに慌てつつ、
「えっあっハイ。そうですが。えっと・・・。フィルマ・ヒスクリア探偵事務所の関係の方でしょうか?」
「ハイ。フィルマ・ヒスクリアの助手をしています、ロウズ・ライリィです。はじめまして。」
差し出された名刺を受け取るが、ほんの少しの疑問が残る。
(ヒスクリアに助手なんていたっけ?確か彼の探偵事務所は彼一人がやっているって聞いてるけど・・・。)
「はじめまして。リリンス・キルシー新聞社のルイ・リナパークです。この度は取材許可を下さりまことに有難く思っております。これからよろしくお願いします。」
「こちらこそ。では事務所のほうへご案内します。」
ルイの差し出した名刺を受け取り、歩き出す。先ほどの疑問を頭の隅に置きつつロウズの後に続き事務所への道を進みはじめた。
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[ 18:51:32 ]  自作小説―PEOPLETB (0) |  CM (0) |

 § PEOPLE―第一話
2007年10月16日 (火)
自作小説 * 小説・文学

「いいなぁ。ルイちゃんはぁ。」
「そぉだよぉ。なんたってあの名探偵、フィルマ・ヒスクリアの担当なんだからぁ。」
「いいよねぇ。スタイルはいいし、超美形だし、おまけに紳士だし。」
「文句なしの男よねぇ。」
「そんな男を密着取材!。」
「ルイは優秀だからねぇ。若いのにこんな重要な仕事任されるんだから。」
「そんなことないよ運が良かっただけ。」
そう今回私は名探偵、フィルマ・ヒスクリアの密着取材をやることになった。彼が今調べているのは、『ジンシュニカ連続殺人事件。』私の勤めている新聞社、『リリンス・キルシー社』で彼の見事な推理の過程を密着取材する事になった。その担当が私。ルイ・シルフィー。これから私は超有名人、超美形、超紳士、迷宮入りは一切なし!の名探偵と行動を共にする事になる。みんなが羨ましがるのも無理はない。少なくとも事件が解けるまでは一緒に仕事をするのだし、仕事が終わった後でもそれなりに長い期間一緒にいたのであれば手紙や電話のやり取りぐらい続く可能性まででてくるのである。自分でも今回本当に運が良かったと思う。
「ねね。サインもらってきてね。絶対だよ。」
「そうよ、私もね」
「いってらっしゃい。忘れちゃダメだよ。」
「勢い余って彼女になんてならないでよ。私があなたを通じてお近づきになるんだから。」
「わかったわかった。じゃあ行ってくるね。」
同僚たちの熱烈な想いに少し引きつつ、私は別れを告げた。
「「「行ってらっしゃい。絶対に忘れないでよ、サイン!」」」
彼女ら三人は口をそろえてそんな事を言った。

「はぁ。記者かぁ。面倒くさいなぁ」
そんな呟きを彼は漏らしていた。日がさんさんと降り注ぐ部屋にはデスクに向かった男が暑そうにだれていた。と、彼はいきなり顔を上げ立ち上がった。
「さぁ。いくか。」
整った顔に上物のスーツを着た彼は、さっきまでとは打って変わってしゃっきりしていた。そんな彼こそ話題の名探偵。フィルマ・ヒスクリアだった。椅子に掛けてあったコートを持ち、彼は部屋を出て歩き出した。

薄暗い路地から外をうかがう。
ガチャーン。
ガラスの割れる音が鳴り響く。窓ガラスの割れた自動車から小さな子どもがすばやく出てくる。手にはハンマーと鷲づかみにされたいくらかの貴金属とお札。窓から飛び出た少年はさっさとそこから飛び降り、袋小路に消えていった。

三人の運命が、螺旋が、回り始める。

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[ 17:58:54 ]  自作小説―PEOPLETB (0) |  CM (0) |

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