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黒猫の勝手気ままな放浪記

 自分の趣味に走るとこうなってしまった(」゜□゜)」 という女子高生が送るブログです。
 § 本の虫
2008年07月21日 (月)

 
――――――君は言葉に頼りすぎてるね。


いつだったかそう言われた。
いつだったかは忘れてしまったけれど。
いつだったか言われた言葉は
はっきりと覚えている。
そう。

言葉だけは……。


早く家から出たくて太陽を追いかけるようにして家を出たんだ。
もちろんそんな時間には猫だって起きていない。
動いているものは始発の電車と電線に止まっている鳥くらいだった。
だから当然のこと。教室にはだれもいなかった。
むしろそんな時間に学校の門を開けていた先生が不思議なぐらいだ。
職員室に行けば先生もいるのだろうが用なんてこれっぽっちもなくて
ただ意味もなく自分の教室に入った。
誰もいないと思ってた教室には意外なことに人がいて
とても驚いたのを覚えている。

その子は本を読んでいて、僕はとても本が好きだったから思い切って話しかけてみた。
「何読んでるの?」
するとその子は顔も上げずに
「君はこれが何に見えるのさ。」
と言ってきた。
ちょっとムカついたので
「まさか君はそれが本だって言いたいわけじゃないでしょう。」
と言ってやった。
するとその子は静かな目で僕を見かえしてきた。

「君は言葉にとらわれているね。」

何を言ってるんだこいつは。その時本気でそう思った。馬鹿じゃないのか。と。
そんな僕のこころを見抜いたのか。その子は勝手にしゃべり始めた。

「言葉は道具だよ。数多くあるコミュニケーションの方法の一つでしかない。
君は本をたくさん読むようだね。それはどうしてだい?
「なに。君は逃げてるんだろ。人との壁を作るのにこんなに簡単な方法はないからね。
人は人とかかわらなくちゃ生きていけない。誰にも存在を知られていない人間なんて。自分自身以外、その他大勢の他人にとってはいてもいなくても変わらないじゃないか。だってそこに人がいることを知らないんだから。無知は罪じゃないから知らないって人たちを責めるのは筋違いというものだよ。無関心は罪だけれどね。
「とにかく君はその“人との関係”ってやつを拒んでるんだよ。でもかかわらないわけにはいかないから。自分の存在は感知してもらわないといけないからそこに居る。それ以上の関係を作らないために君は本という道具で壁を作っているんだよ。
「え?結局何が言いたいかだって?そう焦るなって。これから順に話してやるから。
「つまりだ。君は本というすばらしいものを使って人を拒んでいると言いたいのだよ。それが一番最良の方法だと思ってる?言っておくがね。本だって君の嫌いな人が書いているんだよ。だから君は人を拒んでいるくせに誰よりも積極的に人に触れているんだ。いや。そんな簡単なものじゃないな。そんな浅いモノじゃない。だって本には人の心が込められているのだから。
「知っているかい?本から読み取るのは文字じゃない。つまりそこに込められているのは言葉じゃないんだ。言葉は道具だから本当に本から読み取れるものはそれじゃない。
「じゃぁ何が得られるのかって?ココロだよ。その作者のココロで合ったり君の心の中にあるココロ。それを君の心で引き出したり感じ取ったりするんだよ。どんなにたくさん本を読もうともただ記されている言葉を覚えることに意味はない。言葉は道具だよ。ココロをココロに伝えるための。いくらいい言葉だと思っても、その言葉をいいと思った自分のココロがなければ意味がない。まったくもって無意味だよ。
「君は今までたくさんの本を読んだだろう?その中になにかココロに感じるものを手に入れたかい?
「おっと。それを言葉にしちゃいけないよ。せっかく自分のものにしたのにまた道具に変えてしまう気かい?だめだだめだ。そのココロは君だけのものだ。たくさんある言葉の中から君だけがくみ取った君だけの宝物だ。それを大事にしなさい。きっとそれは君の心の中で君の心となるだろうから。
「今の君は言葉にとらわれている。忘れちゃいけないよ。言葉は道具だ。とてもとても便利なね。だが言葉がすべてじゃない。言葉はすべてじゃないんだ。大切なのはココロ。人と人との間で交わされるココロだよ。
「君がはじめて本からココロを手に入れた時のことを思い出してごらん?忘れてないはずだよ。大丈夫。君はちゃんと持ってるから。思い出してごらん。
「思い出せたかい?じゃぁもう大丈夫。君は君のままで在ることができるよ。
「人はだれしもたくさんのココロを持っている。その中から君はココロをもらってそしてココロを伝えるんだ。たくさんあるココロの中には君にあわないもののもあるだろう。ココロをちゃんと視れる人になりなよ。
「おやっ。もう時間か。そろそろお暇しなくちゃね。さっ。君の大切な人が迎えにきたよ。ちゃんと伝えるんだよ。君のココロを。」

それから僕は教室に忘れた本を持って。
迎えに来てくれたお母さんと一緒に。

静かな夏の始まりの日曜日を幸せに過ごしたんだ。

そういえば。あのときのあの子は。



誰だったんだろう・・・。



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[ 15:31:36 ]  自作小説―短編集TB (0) |  CM (2) |

 § その花は誰がために
2008年04月22日 (火)

昨日の夜近くの桜並木に桜を見に行ったんです。
ちょうど満月の時を見計らって。
満月の光に照らされる桜って大好きなんですよね。
うちの家の周りは街灯がちらほらあるだけで
カエルの鳴き声と自分の足音しか聞こえないような田舎なんですが
そんなことも手伝ってすごく風流でした★
ただ街灯の光がちょっとうるさかったかなぁと。まぁわがままですよね。。。

でわでわ。そんな道を歩きつつ考えてた短編を。桜の木にまつわる言い伝えを絡めてどうぞ。






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[ 21:07:42 ]  自作小説―短編集TB (0) |  CM (2) |

 § あたたかさ
2008年02月11日 (月)

「野風花の手あったかいな。」
空から舞うのは白い粉雪。
吐く息は白く、すでに雪が積もりつつある静まり返った街はやはり白かった。
凍てつく空気は肌を直接かすめていく。思わず身体を震わさずにはいられないような風が吹き抜けた。
「でしょ。でもキミが冷たすぎるんだよ。」
冷たい手を軽く握る。ひんやりとするその冷たさはしかし、いやな冷たさではなかった。
「知ってる?人が暖かいと感じるときって、それの熱を奪ってるんだってさ。」
指が絡む。冷たさと暖かさの境目が少しずつ曖昧になってくるのを感じた。
「奪っていいよ。奪っていい。キミが何をしても私はキミを許すよ。キミのすべてを受け入れよう。キミのすべてを愛してる。」

雪の舞う寒空の下。
小さな燈の花が、甘く優しく咲いていた。
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[ 21:22:01 ]  自作小説―短編集TB (0) |  CM (0) |

 § I was able to meet you and was good.  黒猫の勝手気ままな放浪記⑤
2008年01月08日 (火)

寒くて寒くて。
身体が冷え切っているのか
心が冷え切っているのか。
わからなくなるときがある。
そんなとき、あのとき感じたぬくもりで、
心の中を満たすのだ。

私は変わっているのだ。
だから求めてはいけない。
それはわがままだ。
そう言い聞かせて本当の気持ちを抱え込み
いつしか切れそうになったことがある。
あのときもそうだった。
かなり限界だったのだ。
しかし私は気付かなかった。
あなたが居て、あなたが聴いてくれた。
ずっと溜め込んでたキモチが
言葉になってあふれてきた。
そんな言葉たちを
あなたは受け入れてくれた。
そっと

口から次々と出てくる言葉は心からあふれる言霊。
ずっと誰かに聴いて欲しかった。
誰かにわかって欲しかった。
「うん。そうだね。」
心からのその言葉が欲しかった。

その時私はうれしくて。
涙があふれだしてきた。
真っ暗な闇でよかった。
そうでなければきっと
あなたは私の泣き顔を見ることになっただろうから。

ほんの一瞬の時間だったけれど。
その小さな光は
これからの希望。
それがある限り。
私はどんなところでも生きていけるよ。
どうしようもなくつらい時があるかもしれない。
泣きたい時があるかもしれない。
つぶれてしまいそうに
折れてしまいそうなるかもしれない。
でも
この小さな光がある限り

私は私であり続けることができる。

I was able to meet you and was good.

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[ 17:24:37 ]  自作小説―短編集TB (0) |  CM (8) |

 § 明け方の鬼ごっこ 黒猫の勝手気ままな放浪記④
2008年01月08日 (火)

つめたい。
いたい。
でも
心は温かい。
心は暖かい。

午前三時。
一体何をやっているんだろうか。バカじゃないのか。こんな時間の、しかも冬の北海道で。
なんだか・・・

ものすごく楽しいじゃんかコノヤロー。

小学校以来やってない、警察と泥棒。
ちなみに今警察。最後の一人を探しているところ。
雪のお陰でかろうじて先を見ることのできる状態。
きっといまここでしかできないな。
どこでもできる事だけど、ここでしかできない。
そう思った。
そう思うと、ひどく大切なものをなくしてしまったときのように、
心の中にあの寒空が広がった気がした。

[ 17:07:46 ]  自作小説―短編集TB (0) |  CM (2) |

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