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黒猫の勝手気ままな放浪記

 自分の趣味に走るとこうなってしまった(」゜□゜)」 という女子高生が送るブログです。
 § Not tiltle 第五話
2008年03月08日 (土)

執筆者 朔夜さま 「月夜の空」
――ずっと探し続けているのに、何で見つからないの?
 何度も何度も自分に問いかけ、それでも答えは出てこない。
 チカゲは自分の会社にある社長室で一人、額に手をあて考え込んでいた。
 彼女があの情報を得てから、前よりも一層スラム街に通うようになっても、あの男は尻尾すらも掴ませない。改めてチカゲは追っている男に手強 さを感じた。
 彼女は諦めない。もし諦めてしまったら、今までの全てが水の泡になってしまうからだ。
 そして今日も、チカゲはスラム街へと足を向ける。

 いつもと変わらないスラム街。だがチカゲは何か違う事を感じ取った。
 今日も運転手の制止を振り切りここまで来たはいいが、進むうちに妙な空気が流れていた。それは奥に行けば行くほど強くなっている。
 更に極めつけはいつもならチカゲを興味本位で見ている人間がいない。まるで何かから逃げるように、息を潜めているみたいだ。
 ――何だろうか、この空気は?
 眉間にしわを寄せながらも、チカゲはどんどん奥へと進んでいく。
やがて行き止まりに行き当たる。その事はチカゲも知っていた。だが彼女は己の感覚を信じている。だから歩むスピードも緩めなかったのだ。
 曲がり角を曲がると何の変哲も無い行き止まりがある筈。だが目に入ったのは、そこには数人の男の呻き声と、道に男達が転がっている光景だっ た。
「これは……」
 小さく声を漏らし、呆然としながらも彼女は歩みを止めなかった。
 転がっている男達を見ながら周囲に感覚を研ぎ澄ませる。まだこれをやった人間がいるかもしれないからだ。
 しかしどこを見渡しても、ここにはさっきから呻き声を上げているこの男達しかいない。
 いないのを確認すると、チカゲは呻いている男に本格的に見る。だがすぐにそれは冷めた目つきになる。
 ――弱いのなら、それらしく振舞えばいいのに。
 おそらくこの男達は、この前のチカゲのように誰かに絡んだはいいが、逆に返り討ちにあったようだ。
 ――己の実力を知らない人間は愚かだ。
 呻くしか出来ない男達を冷たい目で見ながら、まだ意識がしっかりしていそうな男に近付く。そして静かに問いかけた。
「あなた方をやった人は、どこに行きましたか?」
聞かれた男は痛みからか呻き声しか出さない。もう一度聞いたが同じだった。
 面倒くさくなったのか彼女は男の首に手をかけ、手加減をしながらも魔法で男に押さえつける。
「これ以上傷を増やしたくなかったら、早く答えなさい。生憎わたくしは、あまり気が長い方ではありませんので」
 丁寧な言葉使いだったが、男はまた恐怖を感じた。痛みで喘ぎながらも、男は必死に声を絞り出す。
「あ、あいつなら……、左に行った……」
「左ですね? わかりました」
 チカゲは男の首から手を放し開放した。恐怖から逃れた男は安堵の息を吐き、その反動でかふっと気を失った。
 その時にはもうチカゲは歩き出し、男の事など目にもくれなかった。
 男の言っていた通り先程の曲がり角を左に曲がり、そのまま一本道へと足を向ける。
 気が急いているのか最初は駆け足だった足取りが、いつの間にか走り出していた。彼女の中で警鐘が鳴り響く。
 何かが、チカゲに警鐘を鳴らさせていた――。

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