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黒猫の勝手気ままな放浪記

 自分の趣味に走るとこうなってしまった(」゜□゜)」 という女子高生が送るブログです。
 § 薔薇はいらない。だからその水を 第四話
2008年03月25日 (火)

いつもながらに前置きが長い・・・。
もう四話まで来てしまってやっと本題・・・。
どうやったら短くすっきりするのでしょうね。


「関口くん。」
落ち着いた声がする。夜叉は腕を掴まれていることに気がついた。
「こっちへ。」
余計なことは言わない。彼女のほんの少しの気遣いが夜叉にとって今一番ありがたいものだった。
「俺は大丈夫ですから。」
ようやくそれだけ告げることができた。また、彼女もそれ以上なにも求めていないことが伝わってきていて夜叉はほかに何もいう必要がなかった。
彼女は夜叉をビルの非常階段まで連れて行くと初めて夜叉と正面から向き合い目を合わせた。
その黒い澄み切った眼は、夜叉に対する哀れみなどみじんもなかった。その眼に映るのは隠されることのない好奇心と獲物を探す狩るモノの光だった。夜叉はこの眼がとても気に入った。
「あたしのことは何度か見たことがあるよね?」
「ええ。樟葉菴さん。神野上から派遣された弥勒の監視役。でしたよね?」
皮肉をこめて言う。弥勒の父が命じたことではなかったが、おせっかいなその部下がとっていた行動だ。はっきりいって暇な人間が回されるのは当たり前。ただ形だけとってついでに神野上家の直系に恩を売るなり気に入られるなりできれば恩の字だ。そんなところに普通重要な人材を回すわけがない。捨て駒で十分なのだ。その末端の小さな駒が彼女であった。
「ふふっ。そうよ。覚えてくれててありがとう。あとねぇ関口くん。所詮捨て駒のポーンでもポーンにはポーンの重要さがあるのよ。覚えておきなさいね。」
「肝に銘じておきます。」
「よろしい。じゃぁ聞くわ。あなた昨日ここへ来たんでしょう?その時のこと、詳しく話してくれる?」
余計なこと無駄なことは言わない。菴の一貫した心構えのようだ。
「あなたが聞いたことですべてあっていますよ。どうせもうカメラもチェックされてるんでしょう?ばかばかしいことしてないで警察に協力してやればいいじゃないですか。」
「残念ながらその警察ってのがあたしのことなんだよねぇ。」
そういいながら黒い手帳を見せた。
「……。そうですか。じゃあ頑張ってくださいね。」
無駄なことを言わない菴の姿勢に反して夜叉は余計な事ばかり口にし、核心を匂わせながらその周りをなぞるように話す。
「仕方がないわ。事件の概要を話すから覚えてね。
 死亡推定時刻は午後11時から12時の間。君がビルの入口の防犯カメラにうつっているからその時刻からして君が弥勒君の部屋をでたのが11時7分と推測される。それまでは弥勒君は生きていたわ。でもそれが今確認された最後よ。ちょうど君と入れ違いに全身黒ずくめで、フードにサングラス、マスクをつけた身長175前後の男がカメラに写ってる。弥勒君の事務所の向かいの部屋ってスポーツジムの物置に使用されているわね?そこが荒らされていたの。およそ30分後、ビルから出ていく黒づくめの男のすがたがカメラに写っているわ。」
「ならその男が犯人で決まっているでしょう。」
「手配はしてあるわ。捕まるのも時間の問題でしょう。ただ一つ問題があってね。弥勒君の事務所の玄関。鍵がかかっていたの。」
「鍵?もしかして・・・え、でもあそこの鍵は」
「そう。掌紋認証よ。登録されていたのは弥勒君の掌紋だけ。彼は助手も雇っていなかったみたいだからそれは不自然ではないわ。認証機の記録を見てみたら午後11時17分に弥勒君が鍵をかけたのが最後だったわ。」
「ありえない。」
「そう。ありえないはずなの。でも彼は明らかに他殺よ。あまりきれいとは言い難いけど、迷いなく腹に一発。ってところね。すくなくともそんなにためらっちゃいないわ。」
「あの事務所は天窓以外全部窓ははめ込みです。殺してすぐなら生体反応も残ってるだろうから鍵をかけることはできたとしても自分が出られないじゃないですか。」
「そうね。ちなみに一番怪しい第一発見者はあたしよ。何度インターホン押してもでないから携帯にかけたの。出かけてるのかと思ってね。そしたら部屋の中から携帯の鳴る音が聞こえてきたのよ。会う約束はしていたから神野上に連絡して確認も取ってもらったわ。誰も彼の行方を知らなかった。やっぱりおかしいなって思って今度は警察をよんだの。そこでドアを壊してみたら・・・。」
スーツのポケットからタバコとライターを出し、口にくわえる。一度ゆっくりと紫煙を吐き出して静かに、語りかけるように夜叉に問う。
「ねぇ。君はこの事件。どうおもう?」
「そうですねぇ。俺はまず唯一無二の大切な友達をうばった犯人を許せません。きっと頭の腐ったいかれた野郎に違いない。絶対に捕まえてくださいね。会ったら一発と言わず何発でも殴り倒してやる。」
「……。あのさ。その演劇部の主人公役が怪我して出れなくなって急遽顔だけいいからって理由でえらばれた代役のような棒読みのセリフ、やめてくれない?」
「顔がいいやつがみんな演技が下手だとは言えませんし、現実的に考えて顔だけで代役を選ぶような演劇部はもともとそんなにレベルが高いとも思えないのですが。」
「そんな話をしてるんじゃないのよっ」
「話を振ったのはあなたですよ。」
いまのところ夜叉のほうが一歩だけ前にいるようだ。菴はふりまわされかけながらも踏ん張りを利かせようとさらに神経を集中させる。
「ありえないです。」
不意につぶやくように言葉が発せられる。
手すりにもたれ下の野次馬を眺めながら夜叉がさらに続ける。
「ありえないです。あいつが、弥勒が死ぬなんて。ありえない。」
今度ははっきりと断言する。手すりに背をもたせかけ菴のほうを向く。
「あいつは幸運でなければならないはずだ。老衰ならまだしも事故や自殺、ましてや殺されるなんてあるはずがない。」
「そうね。でもそれが立証できるかしら?日本の警察はそんな話、信じて捜査なんかしてくれないわよ?」
「だからあなたは俺のところへ来た。」
無言の返答。
「いいでしょう。俺もなぜあいつが死んだのか。興味がある。」

犯人探し。手伝いましょう。


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